本記事では、簿記2級の学習において、商業簿記と工業簿記のうちどっちから先に勉強するべきかをまとめます。
こんな人に読んでほしい
- 簿記2級の取得を考えている
- 商業簿記と工業簿記どっちから先に勉強すべきか迷っている
結論
商業簿記から先に勉強することがおすすめ
- 難易度が高く挫折しがちなのが商業簿記だから
- 工業簿記のテキストは商業簿記を学んだ前提で説明されることがあるから
- 商業簿記は簿記3級の発展的内容だから
【簿記2級】商業簿記と工業簿記
簿記2級 商業簿記とは
商業簿記
一般企業や個人経営の小売店等で使用されている簿記
商品を仕入れて売る、というシンプルな商取引を記述する簿記が商業簿記
スーパーやコンビニなどの小売店や卸売り業などが代表的
試験範囲
- 売上原価と期末商品の評価
- サービス業の処理
- 手形、債券
- 固定資産の売却、除却、廃棄
- 固定資産の改良、修繕、消失
- リース取引
- 無形固定資産(ソフトウェア、研究開発費)
- 有価証券(株、公社債)
- 引当金(貸倒、修繕、賞与)
- 外貨建取引
- 株式発行
- 剰余金の配当、処分
- 税効果会計
- 本支店会計
- 連結会計 etc.
簿記2級 工業簿記とは
工業簿記
製造メーカーや工場などで用いられている簿記
製造メーカーでは、『原料』『消耗品』『機械』『人件費』など、多くのものを使って『製品』を作ります。
製品を作るのにかかった費用(=原価)をどうやって求めればいいでしょう?
また、決算のタイミングで、未完成な半製品がある場合の処理なども考える必要があります。
試験範囲
- 材料費
- 労務費
- 経費
- 個別原価計算
- 製造間接費
- 総合原価計算
- 仕損、減損の処理
- 工業簿記の財務諸表
- 標準原価計算
- 直接原価計算 etc.
商業簿記と工業簿記の比較
商業簿記 | 工業簿記 | |
配点 | 60点 | 40点 |
テキスト量 | 多い | 少い |
難易度 | 難しい | 易しい |
問題パターン | 多い | 少ない |
3級との関連 | 有り | 無し |
商業簿記の方がテスト時の配点が多く、その分内容も多く難易度も高いと感じる人が多いです。
工業簿記は、問題のパターンが少ないため、過去問等でコツをつかめば、安定して高得点を取ることができます。
工業簿記簡単すぎ、商業簿記難しすぎ
— Hisaji_ (@ptolemii_) May 23, 2021
商業簿記と工業簿記どっちから先に勉強するべき?【先に商業簿記】
商業簿記から先に勉強することをお勧めします。
以下にその理由をまとめます。
【なぜ商業簿記が先?】挫折するとしたら商業簿記だから
ポイント
商業簿記の方が勉強量が多く複雑で挫折しやすい
簿記2級を合格するためには、商業簿記をしっかりと理解する必要があります。
先に、自分が商業簿記を理解できるのかを確かめたほうが効率的です。
おはようございます☀️
今週も真ん中過ぎました。
次の月曜日は簿記2級のネット試験の予定です。
でも、商業簿記の範囲の広さに挫折して、勉強できてない。連立会計わからない😣今から頑張っても遅いと思いつつ、今週は勉強します。。#簿記2級 #1度落ちてから本気になるやつ
— あん (@_annchance) September 15, 2021
仕事しながら簿記2級の勉強を独学で始めたけど商業簿記を一冊終えたところで挫折。問題難しくて。友達も皆やっぱ2級は独学大変、学校行く方が早いというので、TACで頑張ることにした
— さくら@簿記2級合格目指すアカウント (@sakura_ha1) August 3, 2020
簿記2級の取得を諦める要因は、商業簿記が理解できないからという理由が大半です。
工業簿記を勉強後に商業簿記に挫折して簿記2級の取得を諦めるのは、工業簿記を勉強した時間が無駄になっています。
メモ
工業簿記の知識はどこかで活きる可能性はありますが、2級の工業簿記の内容は基礎的で実用には心許ないです。
【なぜ商業簿記が先?】工業簿記は商業簿記を学んだ前提で書かれていることがある
ポイント 工業簿記のテキストには、商業簿記との対比で書かれることもある
『商業簿記では○○であるが、工業簿記では~~~』のような表現が散見されます。
工業簿記は新しい分野の簿記のため、3級でも取り扱っている商業簿記との差に触れて説明する流れがあります。
また、学習内容としても、『財務諸表の作成』や『本社工場会計』など、簿記2級で学んだ内容が工業簿記でも出てきます。
【なぜ商業簿記が先?】3級の内容に近い商業簿記から学ぶべき
ポイント
簿記3級の内容が頭に残っているうちに商業簿記に取り組むべき
商業簿記は、簿記3級の内容の発展形のようなものです。
簿記3級で軽く触れていたところを、より細かく学んできます。
3級の内容とリンクしている例 | 3級 | 商業簿記 |
減価償却 | 定額法 | 定率法、生産高比例法 |
引当金 | 貸倒引当金 | 修繕引当金、賞与引当金、退職給付引当金 |
税金等 | 法人税 | 消費税、課税所得計算、税効果会計 |
他にも、『決算手続き』や『固定資産』も3級の内容を高度にしたものになります。
3級の内容を少しでも覚えているうちに商業簿記に取り組むことで、理解が難しい商業簿記を突破する確率が高まります。
【簿記2級どっちから?】同時に勉強するのはナシ?
ポイント
同時並行は覚えることが多くなりすぎて混乱する
商業簿記では、3級の内容に追加して細かな論点をたくさん覚えなければなりません。
一方で工業簿記は、3級の内容とはほとんど被っているところがないので、ほぼゼロからスタートするような感覚です。
どちらかを先に勉強すると、もう一方を勉強しているうちに先に勉強した方を忘れてしまいます。
しかし、それでも問題ありません。
先に学んだ方は、もう一度勉強しなおしましょう。
1周目でしっかりと理解していれば、2週目はスムーズに学習を進められます。
筆者の勉強の流れ
- 商業簿記のテキスト1周目(内容の理解に努める)
- 工業簿記のテキスト1周目(試験問題も解けるレベルまで)
- 商業簿記のテキスト2週目(苦手なところを重点的に)
- テスト対策(過去問7-8年分)
【まとめ】簿記2級はどっちから先に勉強?【商業簿記】
簿記2級は商業簿記から先に勉強しましょう。
理由
- 挫折しやすい商業簿記を理解できるか先に試すべき
- 工業簿記は商業簿記との対比でテキストが書かれていることもある
- 簿記3級の内容を覚えているうちに商業簿記に取り組むべき
簿記2級は、難易度が高く、取得が難しい資格と言われます。
そのため、取得することができれば、キャリアアップや転職などに有利です。
また、個人事業主として帳簿を作成する際にも、株式投資の判断として財務諸表を読む際にも役立つ知識を学ぶことができます。
自己の成長のため、頑張って取り組んでみてください。
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